Lou Donaldson を聴いてきた @ Blue Note Tokyo

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YOMIURI ONLINE の “新おとな総研” で、 “ジャズ定番入門” というコラムを書かせていただいて、3 年以上経った。

たしか初回に取り上げたテーマが “ライヴ盤” 。自身がどうしても記したかったのが、Birdland での Art Blakey のライヴ盤だった (当時は、まだ “Art Blakey Quintet” で、 “Jazz Messengers” になる前)。「好きなアルバムを挙げろ」と言われたら、迷わず、コレをピックアップするほど大好き。


“コンプリート・バードランドの夜 Vol.1″ (アート・ブレイキー, ピー・ウィー・マーケット)

そう、Pee Wee Marquette の、あの MC から始まり、1 曲目の “Split Kick” が始まる。テーマが終わって、Lou Donaldson のサックス ソロに移り、ソコから Clifford Brown にバトンタッチされる…。ココまでが、約 3 分 30 秒。前述のコラムで、

何も考えずに、このアルバムを最初から 3 分半聴いてみてほしい。この 3 分半にジャズのライブ、いやジャズそのものの魅力が全て凝縮されている。

と記したのだけれども、それだけ Lou Donaldson の存在は大きいと思うわけで。

で、そんな Lou Donaldson が Blue Note Tokyo に来た。ちなみに、この Art Blakey の “Live At Birdland Vol.1″ が発売されたのが 1954 年のコトだから、今からちょうど 60 年前。その当時から現在に至るまで第一線で活動しているというコトだけでも十分にスゴい。御年 87 歳。

もう、ステージに上るまでの足取りとか、ステージ上での立ち居振る舞いは、どう見ても「いいおじいちゃん」なんだけれども、音は全く違う。良い感じで枯れきっているんだけれども、音の芯はぶっとくて、存在感ありまくり。ダブルリップで、かつ、よほど力を入れずにマウスピースをくわえているせいか、高音域が上がりきらずにひっくり返るコトも多々あったのだけれども、そんなのどうでもいいくらい存在感のある音。「あー、 “Alligator Bogaloo” って、やっぱり、こういう音で吹かないと、ものすごーくカッコ悪いよなぁ…」というのがよくわかる。


“アリゲイター・ブーガルー” (ルー・ドナルドソン)

ちなみに、 “Alligator Bogaloo” は、ちゃんと演奏したんだけれども、テーマだけで本人はソロ無し。さすがに高齢であるコトを考えると、1 ステージずっとイケイケでは吹けないよね。でも、ちゃんと周りのメンバーに暴れてもらうトコロ、自分が (少しだけど) ソロ取ってみるトコロ、その辺りのさじ加減がすごく絶妙なのは、やはり経験があってこそなんだなぁ、と思うわけで。

今回の編成は、Lou Donaldson に加えてギター、オルガン、そしてドラムのカルテット。編成だけ見ると、かなーり funky かつ bluesy なコト演るのかな…、と思っていたのだけれども、いきなり MC で “今日はコテコテにジャズ演ります” と言って、ホントに be bop やスタンダードを演ってたのは、ある意味面白かった。

ステージそのもの、というか、演ってる音楽は、もう “ベタなモダンジャズ” としか言いようが無いくらい古い。それこそ、一歩間違えたら大学のジャズ研とか、あっちこっちでやってるジャムセッションで演ってるコトと変わらない。つまり “伝統芸能” 的なジャズ。でも、Lou Donaldson が吹いてると、なぜかカッコいい。 “What a Wonderful World” とか “Bye Bye Black Bird” といった、いわゆる “どスタンダード” を、「これでもか」というくらいベタに、何のひねりも無く吹いてても違和感を感じないどころか、むしろカッコ良く聴こえるサックス奏者なんて、どれだけいるのだろう?

なんというか、古いんだけれども、いつまでも残っていてほしいし、演り続ける人がいてほしい、そんな音楽。ただただカッコよかった。

ライヴ演ります (2014 年 5 月)

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一応、自己紹介かたがた書いている文章で「ココロはいつでもミュージシャン」と書いているので、自分のライヴの告知でもしておこうかと。

・・・って、明後日、5/11 の日曜日なのだけれども、夜に Lovetide というバンドで、渋谷の eggman に出ます。Jazz を主に演ってて、まさか eggman に出演するコトになるなんて思わなかったけれども…(実は出てみたかった)。

で、なんで eggman なのかというと、実は、このバンドが Emergenza Japan というコンテストに出ていて。3 月に予選ライヴに出演するにあたって、Sax で助っ人参戦をさせていただいたのがお付き合いの始まり。

ちなみに、こんなライヴだった。

エマージェンザ予選 Vol.13

で、この予選。 “観客の挙手で決まる” という採点方式で、上位のバンドが勝ち抜けるという、ステージ パフォーマンスよりも、何よりも “集客力” が明らかに問われるんじゃないか…、という仕組み。当日、どうやら、その “集客力” が思うように発揮できず、 “あー、こりゃ予選落ちだよねー” なんて思っていたトコロ、思いのほか (ほかのバンドを聴きにいらっしゃったであろう方々から) 支持されたっぽく、メンバーのほとんどが予想だにしていなかった予選通過となったわけで。

というコトで、明後日の日曜日が、この “第 2 ラウンド” になるのです。で、今回も “観客の挙手で決まる” という “集客力” を見せつけたバンドが勝ち進む仕組みらしいので、是非手を挙げに聴きに来てくださいませ。

詳細は、こちら

・・・って、よく見たら “準決勝” って書いてあるけど (汗)。

ちなみに、決勝を勝ち抜いたら、ドイツの野フェスで演れるらしい。まぁ、ソコまで行けるかどうかはわからないけれども。

そして、ライヴもう 1 本。

こちらは、最近仲間に入れていただいたのだけれども、千駄木にある “ジャンゴ” というお店で Live & Session というカタチで演奏させてもらっています。

ちなみに、こちらは 5 月 16 日の金曜日。

詳細は、こちら…、なのだけれども、クリックするとなぜか 444 番ポートに通され、認証を求められる状態になっているので、しばらく経ってから、また見に来てくださいませ…(早くマスター気付いてくれないかな…汗)。

一応、住所や電話番号は、こちら…。東京メトロ千代田線の千駄木駅 1 番出口を出たら、すぐのトコロです。

Jazz Club Django
文京区千駄木3-36-11センチュリー21ビル地下
(営団地下鉄千代田線千駄木駅1番出口)
Tel: 03-3823-7266

というわけで、「お前、プロのサックス奏者だったって言ってるけど、ホントに吹けるの?」とツッコミ入れたい方は、是非聴きに来てくださいませ。

 

Snowman は Snowpal になるのか?

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LA Clippers のオーナーが人種差別的な発言をしたというコトで、このオーナーに対して、NBA が 2.5M USD の罰金を課した上に、リーグからの永久追放という処分を下したというハナシに関して。

NBA、人種差別発言のクリッパーズオーナーを永久追放処分

いや、コレはもう U.S. では、というか、多くの国で「当たり前だろう」という処分なわけで。

少なくとも人種に限らず、例えば性別や宗教や文化や、その他色々…、差別があれば、間違いなく、こういう処分になるでしょうと。

バルサのダニエウ・アウヴェスに対してバナナが投げ込まれたハナシとかもね。

このヒトも、(現時点では) 永久入場禁止処分が確定しているし、さらにもっと重い処分になると思うのだけれども、それだけ差別って非常に重いハナシ。日本では、ソコまで “重い” というカタチで語られていないような気もするのだけれども。

それだけ重いからこそ、発言一つ取ってみても慎重に考えた上で、コトバを一つ一つ選ぶ必要があるわけで。要は “Politically Correct” なのか “Politically Incorrect” なのかというハナシ。”Political Correctness (PC)” というヤツですね。

それこそ、簡単な例で言うと、Miss や Mrs. じゃなくて Ms. を使うとか、職業名などでは “〜man” じゃなくて “〜person” とか “〜officer” にするとか。もちろん日本語でも、そういうのってたくさんあるわけで。

で、ソレで気になったのが『アナと雪の女王』。

あの作品中の曲で、ボクが一番好きな “Do You Want To Build A Snowman” というのがあるのだけれども、コレって「いや、Snowman という単語は Politically Incorrect だ」って言ってるヒトっているのかなぁ…? って思ったわけで。

あれだけ映画が大ヒットしてるわけだから、ひょっとしたら難癖付けるヒトが少しくらいはいるのでは…、と思ったのだけれども、どうやら、それっぽいハナシは出てないみたいで。

ただ『アナと雪の女王』に対して、ではないのだけれども、こういうのはあった。

“Snowpal” Is The New, Gender-Neutral Replacement Term For “Snowmen” You’ve Always Wanted

要は「Snowman じゃ Politically Incorrect だし、だからと言って Snowwoman とか Snowperson とか Snowpeople ってのもイマイチだし…、というコトで “Snowpal” って呼び方はどうよ?」というハナシ。ちなみに “pal” って “仲間” とか “友だち” ね。

そのうち、あの曲の歌詞も “Do you wanna build a snowman 〜” じゃなくて “Do you wanna build a snowpal 〜” って変わるんだろうか…、と思ったりもするのだけれども、それだけ差別って重いし、また sensitive なわけで。

難しいよね。

ここ 2 年ほどの森高千里の活動と音楽ビジネスとデジタルマーケティングと、あと色々。

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先日のエントリーで、ふと森高千里の “海まで 5 分” のコード進行を出してしまったついでに、ちょっとマジメに森高千里のハナシ。

既に、ご存知の方も多いとは思うのだけれども、自身は森高千里の大ファンなのです。で、その森高千里の活動が、この 2 年くらい、つまりデビュー 25 周年を迎えたのを機に、急に active になってきているのは、ご存知のとおりかと。で、このあたりの “Digital” の使い方なのだけれども、コレがものすごくウマくやっているよなぁ、と思うわけで。意外と触れられていないみたいだけれどもね。

森高千里のデビュー 25 周年活動が本格的に始まったのが、まさにデビュー 25 周年当日の 2012 年 5 月 25 日。この日に、オープンさせたのが YouTube チャンネルFacebook ページGoogle+ ページ、そして Twitter アカウントと、いわゆるソーシャル メディアの主だったモノをひと通り。

で、始めたのが「200 曲セルフカバー企画」。つまり、デビューから (一旦活動を休止する) 1999 年までに発表されたオリジナル曲を 200 曲。全部歌い直して、YouTube に上げ続けるというモノ。というか、200 曲って、ほぼオリジナル全曲になるハズなので、まさにアルバムに収録されていようといまいと構わず全部出て来ちゃってるわけで。

・・・と、コレだけだったら、別に「ふーん…」で終わっちゃうのだろうけれども、ココからさらに色々なコトを仕掛けてきている。まずやったのが、レコチョクで、全シングル曲の着うたフルを期間限定価格で一気に売り出した、というモノ。

そしてレーベルまたいで集めた、シングル A 面の 45 曲を 3 枚組にして発売 (そりゃ、もちろん買ったけど…)。

“ザ・シングルス(通常盤)” (森高千里)

さらに、ソレだけじゃなくって、前述の「200 曲セルフカバー企画」として YouTube に公開されている動画を、それぞれ 1 曲ずつ iTune Store で販売していたりする。全部公式チャンネルから普通に見られるのに (いや、それでも何曲か iTune Store で買っちゃったけどさ…orz)。もう 120 曲以上売られてるのかな。

で、さらにさらに続くのが、この「200 曲セルフカバー企画」の収録の模様を「公開収録」として、ミニライヴにしてしまったというハナシ (いや、もちろん行ったけどさ…)。で、この「公開収録」で撮られたテイクは、もちろん YouTube に公開され、さらに iTune Store で販売され…、となっただけではなく、きっちりと DVD/CD のセットで発売されていたり…。


“森高千里 YouTube公開収録 & Live at Yokohama BLITZ” (森高千里)

いや…、実際会場に行ったにも関わらず、買ってしまったんだけど…orz。

他にも、この「公開収録」の直後だったかな? 絶妙なタイミングでオフィシャル評論集出したりとか…。


“森高千里としか言えない” (小貫 信昭)

で、さすがに、もう終わりだろうと思ったら、またさっきも触れた「200 曲セルフカバー企画」を、今度は DVD としてまとめて売りだしちゃったり…。


“デビュー25周年企画 森高千里 セルフカバー シリーズ ”LOVE”Vol.1 [DVD]” (森高千里)

しかも、コレ、全部で Vol. 4 まで出てるのよ…(いや、買っちゃったけど…orz)。

さらに、過去のライヴを「初映像化」というカタチで、当時のパンフレットの復刻版まで付けて売り出したり…。


“森高ランド・ツアー1990.3.3 at NHKホール[Blu-ray+DVD+3CD+豪華ブックレット+ツアー・パンフ復刻(ミニ・サイズ)+生写真+特大ポスター&大判ポートレート]” (ワーナーミュージック・ジャパン)

で、もちろん、その間には久々にツアー始めたり、イベントやらの露出も多くなったり…、と、着々と復活に成功しているわけで。しかも、(特に復活初期段階は) ほとんどのコミュニケーションを、自分のサイトに加えて、YouTube/Facebook/Google+/Twitter でやっちゃってるから、多分相当コスト掛けずにできているんだろうなぁ、と思うわけで。

しかも、YouTube に公開している「200 曲セルフカバー企画」も、ソレを元に、色々とカタチを変えて複数回のマネタイズ (iTune Store での販売/公開収録のチケット収入/DVD 化での売上/その他…) が出来ているわけだし。

なんというか、パッと見、あんまり目立たないようにも思えるのだけれども、コレほどまでにきちんと “Digital” を “Solution” として使っているケースって、特に音楽 (ビジネス) 方面では見かけないよなぁ…、と思うわけで。

いや、決して (ついついうっかり) おカネを払い続けてしまったから言っているわけではなく…、ね。

アタマの中にふと浮かぶコード進行。

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このブログのタイトルの下に書いてある、

| Eb | Dm7 | C# | Cm | B | Bbm | A | Abm |

って、わかるヒトにはわかるだろうけれども、コード進行なのです。

ただ、コレが何の曲の、どの部分のコード進行かまで、すぐわかるヒトって、多分、ソレほどは多くないかも。

ちなみに、この曲は Monday 満ちる作曲の “I’m Still Here”。このアルバムに収録されている。

“ROUTES” (Monday満ちる)

以前から、Monday 満ちるの曲は、ものすごく好きで、例えば、コレなんかも、今でもずっと聴き続けてたりする。

“PLAY IT BY EAR” (Monday満ちる)

よくよく考えたら、この曲も

| AMaj7 – G#m7 – | D#m7 – A#m7 – | AMaj7 – G#m7 – | GMaj7 – F#m7 -|

という進行なので、結構似たような進行と言えるかもしれない。ちょうど半音ずつ下がってくるトコロとか大好き。

一時期、音楽をひたすらやり込んでいたせいか (というか、シゴトにしてたわけだが)、コトバで上手く説明のしようがない、ものすごーく抽象的な概念を、なんとなく音に例えてしまうようなコトが今でも結構あったりして。たとえば、プレゼン資料を作り込んでいくにあたって、行き詰まってしまった時、突然ノート (なぜか手書き派) に

| EMaj7 – - – | E7 – - – | AMaj7 – - – | AMaj7 – - – |
| F#m7 – - – | E#onG# – G# – | C#Maj7 – - – | F#m7onB – - – |

こんなコード進行を書き込んでしまったり。で、コレがまた、森高千里の “海まで 5 分” のコード進行だったり。

多分、そのときは、“海まで 5 分” みたいな感じ、というのがアタマの中にあったんだろうなぁ…。後で見返してみても、全くわからないのだけれども (メモってる意味が無い…)。

メモ帳を後で見返すと、なんで書き込んだのかよくわからないコードが 3 つほどバラバラに書きなぐられていたりするコトが結構あったりするし。それらを実際に音に出してみても、ますますわからなくなってしまったりするようなコトもあって、悩むコトしばしば。

毎日のように音楽をやってる頃は、むしろ、あんまり、そういうのを感じなかったあたりが、皮肉というか、なんというか。わからないモノです。はい。

音楽とテクノロジーというハナシ。

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ちょっと前のハナシになるのだけれども、この前、渋谷の JZ Brat で、ハクエイ・キムさんのバンド、Trisonique の演奏を聴かせていただく機会があった。

去年リリースされた “A Borderless Hour” を聴いて「あ、面白い & カッコいいピアノだな…」と思って、ちょこちょことチェックしていたのだけれども、一度 Live で聴いてみようと思っていたので。

この Trisonique というバンド。正直普通のピアノ・トリオ的なサウンドを期待して聴くと、大変なコトになる。グランドピアノのサウンドは、エフェクターで存分に変化してるわ、リボンコントローラーは出てくるわ、それだけじゃなく、「クラヴィコードを電気楽器に改良した」というのが一番しっくりとくる「ネオヴィコード」という新しく開発 (神奈川工科大学の西口教授が開発したらしい) された楽器は出てくるわと、すっごく自由に音が飛び交うステージが楽しめる。

こうやってステージを観ていると、あらためてテクノロジーって、音楽の表現をどんどん拡張させてきたんだなぁと思うわけで。もし、ショパンの時代に Rhodes があったら、きっとワクワクしながら、色々な曲を創り出したんだろうなぁ、なんて思ったり。

そう考えると、テクノロジーを用いて、音だったり、あるいは、その音から生まれる表現そのものを拡張させるコトが出来る、というのは、今のアーティストに与えられた特権なのかもしれないな、とも思ったりするのです。使おうと思えば、クラヴィコードだって、ピアノだって、シンセだって、自分の気分や創りたいサウンドに合わせて使い分けられるというのは、すごく素晴らしいコトなんだなぁ、というのを改めて感じるわけで。

うん、音楽って素晴らしい。